結論から
Google ドライブの WebDAV URL は存在しません。隠しエンドポイントでもベータ版でもなく、Workspace 管理コンソールのスイッチでもありません。2026年9月に Google 公式ドキュメントを確認したところ、ブラウザ以外から Drive に到達する手段として公開されているのは Drive REST API と Drive for desktop の2つだけです。API 概要ページに並ぶのは REST API、Picker API、Apps Script、Activity API、Labels API で、WebDAV という語は出てきません。
| 手段 | Google 自身の記述 | WebDAV |
|---|---|---|
| Drive REST API | アプリから Drive ストレージを使うための REST API | なし |
| Drive for desktop | stream / mirror の2モード、Windows と macOS のみ | なし |
| ブラウザ版 Drive | Linux では the desktop version isn't available | なし |
| WebDAV エンドポイント | ドキュメントに記載なし | 存在しない |
なぜ「Google ドライブ WebDAV」を探すことになるのか
プロトコル名で検索する人は、たいてい具体的な困りごとを抱えています。典型は3つです。
- NAS のバックアップジョブ。 Synology も QNAP も WebDAV クライアントを持っていて、遠くのストレージを指定する最も汎用的な宛先が WebDAV です。Drive も URL ひとつで指定できそうに見えます。
- WebDAV しか話せないアプリ。 文書管理システム、古い CAD や会計ソフト、スキャナーのファームウェア。リモート保存先の入力欄が1つだけで WebDAV アドレス専用という製品は今も珍しくありません。
- Linux。 Google のシステム要件ページははっきり書いています。Linux については「the desktop version isn't available. Instead, you can use Google Drive on the web.」です。Linux のファイルマネージャーには WebDAV クライアントが標準で入っているので、自然な逃げ道に見えます。
どれにも現実的な答えはあります。ただしその答えは、Google が出す WebDAV URL ではありません。
方法1:Drive for desktop(stream か mirror)
Google 公式クライアントです。最初に理解すべきなのは2つのモードの違いです。
ヘルプセンターの定義は明確です。stream では「files are primarily stored in the cloud, but will be made available offline when accessed」で、ファイルは「on a virtual Drive on your computer」に置かれます。mirror では「mirrored files will always be stored on your computer and in the cloud」で、置き場所は「in a folder on your computer」です。stream はディスクをほぼ消費せず、mirror は容量を使う代わりに本物のオフラインアクセスが手に入ります。
2026年9月時点の公開要件は、64-bit の Windows 10 以降または Windows Server 2016 以降、ARM64 は Windows 11 以降、macOS は Ventura 13.0 以降。Windows では「requires Microsoft WebView2, which is usually included in Windows 11 and most Windows 10 devices」とあります。Linux ビルドはありません。
代償: Linux 非対応、アカウントごとに別マウント、NAS やアプリに渡せる WebDAV URL は手に入りません。
方法2:rclone serve webdav を Drive リモートの前に置く
「どうしても Drive に届く WebDAV URL が必要」への正直な答えです。WebDAV サーバーを自分で動かし、rclone が WebDAV と Google API を橋渡しします。
bash
rclone config
rclone serve webdav gdrive: --addr 127.0.0.1:8080 --user alice --pass secretrclone 公式ドキュメントで2026年9月に確認した事実が3つ。第一に --addr の既定値は 127.0.0.1:8080 で、初期状態では同じマシンからしか届きません。外に出すなら --addr を変え、TLS は自分の責任になります。第二に認証は単一アカウントなら --user と --pass、Apache 形式なら --htpasswd、リバースプロキシ配下なら --user-from-header。第三に Drive では最重要の点として、Drive バックエンドのページに「the shared client_id is being retired and will stop working during 2026」「creating your own is now strongly recommended」とあります。Google API Console で自分の client_id と client_secret を作らずに組むと、期限が予告された仕組みの上に運用を載せることになります。
同じページにもう1つ重要な数字があります。「Drive has quite a lot of rate limiting. This causes rclone to be limited to transferring about 2 files per second only.」これは Drive の API 側の性質で、クライアントを変えても消えません。
代償: 常駐プロセス、設定ファイル、自前の OAuth 認証情報、外に出すなら TLS、Drive のレート制限はそのまま。ただし FUSE は不要で、rclone mount と違ってドライバーを入れません。比較は rclone mount の代替 にあります。
方法3:Nextcloud を挟む案は「ドキュメントにない」
もう1つよく勧められるのが、自前の WebDAV サーバーを Drive の前に置く方法です。Nextcloud の外部ストレージに Drive を追加し、クライアントは Nextcloud を向く構成です。2026年9月に確認した Nextcloud 管理マニュアルの外部ストレージ一覧は Amazon S3、FTP/FTPS、Local、Nextcloud、OpenStack Object Storage、SFTP、SMB/CIFS、WebDAV。Google Drive は入っていません。 旧バージョンに Google Drive バックエンドがあったという投稿は見かけますが、現行ドキュメントに記載のないものの上に運用は組めません。本題が Nextcloud 側の速度なら Nextcloud の WebDAV が遅い理由 が役に立ちます。
方法4:Google との間に WebDAV を挟まない
そもそもその WebDAV URL は何のためだったのかを考え直す価値があります。目的が「Drive のファイルを Finder やエクスプローラーで見たい」なら、WebDAV は最後の1区間でよく、Google と話す区間である必要はありません。
AnyStorage はその形です。Google ドライブは接続タイプの1つで、アプリ内で Drive 自身の OAuth サインインを通すため、Drive が WebDAV を話すふりはしません。マウントしたボリュームが欲しければ、アプリが自分のマシン上で WebDAV サーバーを動かします。サイドバーの Services、WebDAV タブ、Start。既定アドレスは http://127.0.0.1:3211、HTTP Basic 認証は常に有効で、ユーザー名は anystorage、パスワードは初回起動時に生成される24文字です。開いている接続はすべてそのルート直下のフォルダーとして並ぶので、Drive が S3 バケットや SFTP ホストと同じマウントに同居します。macFUSE も WinFsp も管理者パスワードも不要です。
正直に書くと、これは 0.2.x の若いアプリです。無料プランは接続2つまでで、このマウントは読み取り専用(閲覧・再生・コピーアウトは可、書き戻しは Pro)。商用利用は無料プランでも可能です。動作環境は macOS 11+、Windows 10+、Ubuntu 20.04+ で、Google の「Linux はブラウザで」という回答が理由でここに来た人にはこの一行が効きます。手順は Google ドライブをネットワークドライブとしてマウントする、一般論は クラウドストレージをローカルドライブとしてマウントする にあります。
それぞれの代償を並べる
| 手段 | WebDAV URL が手に入る | Linux | 常駐プロセス | 主な落とし穴 |
|---|---|---|---|---|
| Drive for desktop | いいえ | 非対応 | Google のクライアント | アカウントごとに1マウント |
rclone serve webdav | はい | 対応 | rclone を常駐 | 2026年以降は自前の OAuth 必須 |
| Nextcloud を挟む | はい | 対応 | Nextcloud 一式 | Drive バックエンドが未記載 |
| ローカル WebDAV を持つクライアント | はい(loopback) | 対応 | アプリ本体 | 無料プランは読み取り専用 |
最後の列で決まります。NAS や機器から Drive に届かせるなら常時稼働の rclone serve webdav、自分のファイルマネージャーで開くだけなら loopback を持つクライアントです。
Finder に貼れる Google ドライブの WebDAV URL はありますか
ありません。2026年9月時点で Google は Drive 向けの WebDAV エンドポイントをどのドキュメントにも公開しておらず、Drive API の概要ページにプロトコル名すら出てきません。それらしいアドレスは第三者のブリッジのもので、Google のものではありません。
昔の Google ドライブは WebDAV に対応していた?
確認できるドキュメントの範囲では対応していません。現行ドキュメントには REST API と Drive for desktop しかなく、WebDAV サービスの開始や終了を告知したベンダーページも見つかりません。旧エンドポイントを語る投稿は未検証として扱ってください。
Synology や QNAP から WebDAV なしで Google ドライブへバックアップできますか
できますし、そのほうが筋が通っています。Synology の Cloud Sync は「sync and share files among your Synology NAS and multiple public cloud services」のための機能で、ヘルプ本文でも Google Drive を例に挙げています。WebDAV の代用品ではなく、ベンダーがサポートする Drive API 接続です。逆方向は NAS の WebDAV 設定 にまとめました。
rclone serve webdav はインターネットに公開しないといけませんか
クライアントが別のマシンにある場合だけです。公開されている既定値 --addr は 127.0.0.1:8080 で loopback のみです。外に出すなら、公開アドレスを選び、TLS を自分で用意し、--user と --pass、--htpasswd、プロキシ配下の --user-from-header のいずれかを選ぶことになります。
どの方法でも Drive が遅いのはなぜ
ボトルネックが Drive の API だからです。rclone の Drive ドキュメントは「Drive has quite a lot of rate limiting」と明言し、ファイル単位の処理は「about 2 files per second only」に制限されると書いています。同じ API の手前でプロトコルを替えても上限は上がりません。効くのはファイル数を減らすことだけです。
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クライアント選びが本題だったなら WebDAV クライアントの選び方 がハブです。Windows なら Windows 11 の無料 WebDAV クライアント で、2023年11月の Microsoft による非推奨化が何を変えたかを扱っています。