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rclone 代替

FUSE 不要、GUI で使える rclone mount の代替

macFUSE や WinFsp の用意が面倒なら、ローカルの WebDAV エンドポイントで完結する rclone mount の代替という手があります。

rclone mount で時間を取られるのは FUSE ドライバ、キャッシュモード、自動起動の設定です。ローカル WebDAV エンドポイントならその手間がなくなります。

rclone 代替、rclone GUI、FUSE 不要 マウント

最初に断っておくと

rclone はこの十年で最も良くできたインフラ用ソフトウェアのひとつです。無料で、スクリプトに組み込めて、対応バックエンドの数では他の追随を許しません。すでに rclone mount が手元で安定して動いていて、普段その存在を意識しないなら、そのまま使い続けてください。動いているものを置き換えろとは言いません。

この記事が想定しているのは別のケースです。コマンドを打ったあとドライバまわりかキャッシュのフラグで詰まり、GUI のあるものを探し始めた人向けです。

詰まるのは rclone ではなく、その下の FUSE 層

rclone 自身の mount ドキュメントを読めば、前提条件は正直に書かれています。rclone の責任というより、リモートのストレージをローカルのファイルシステムに見せかけること自体のコストです。

  • macOS には FUSE の実装が必要です。macFUSE は 2026 年になってもカーネル拡張のままで、Apple Silicon では復旧モードで起動してセキュリティポリシーを「低セキュリティ」に下げ、拡張を許可し、もう一度再起動する流れになります。macOS のメジャーアップデートが来ると、この作業をまたなぞることもあります。FUSE-T のような kext 不要の選択肢は NFS 経由になるので、別種の癖と付き合うことになります。
  • Windows では WinFsp を先に入れないと rclone mount は動きません。ドライバがひとつ増え、管理者への昇格がひとつ増え、保守対象がひとつ増えます。
  • Linux が一番素直です。この手の記事を書くのが Linux ユーザーではない理由でもあります。

キャッシュモードの話もあります。ドキュメントの書きぶりは率直で、既定のモードでは同じファイルを読み書き同時に開けず、vfs-cache-mode を writes か full にしない限り多くの一般的なアプリが正しく動かない、とはっきり書かれています。モードを選び、キャッシュ先を決め、上限サイズと保持期間を決める。マウントポイントにチューニング項目が増えていきます。

自動起動もひと仕事です。macOS なら launchd の plist、Linux なら systemd のユーザーユニット、Windows ならタスク スケジューラ。おまけにバックグラウンドのサービスが張ったマウントがデスクトップセッションから見えない、という古典的な落とし穴も待っています。ここまで全部、rclone.conf を書き終えたあとの話です。Google ドライブについては、共有のクライアント ID にはレート制限があるため自前の OAuth クライアント ID を取得するようドキュメントが勧めてきます。

フォーラムで定番になっている回避策

FUSE で困っている rclone のスレッドを下までたどると、たいてい同じ提案が出てきます。mount はやめて rclone serve webdav を起動し、その URL をネットワークドライブとして割り当てる。これは実際に動きます。WebDAV クライアントはどのデスクトップ OS にも昔から入っていて、カーネルドライバは一切要らないからです。

AnyStorage はこのやり方をそのままアプリにしたものです。

GUI だけで完結する rclone mount の代替

ストレージの接続は画面から追加します。対応は 20 種類で、S3、Cloudflare R2、Backblaze B2、Google Cloud Storage、Azure Blob、Google ドライブ、OneDrive、Dropbox、pCloud、Seafile、SFTP、FTP、他社の WebDAV サーバー、ローカルフォルダなどが含まれます。Synology や QNAP の NAS で有効にした WebDAV や SFTP も、ここでは普通の接続のひとつです。OAuth はアプリ内で完結し、手で編集する設定ファイルはありません。

サイドバーの「サービス」を開いて WebDAV タブに切り替え、開始を押します。エンドポイントはひとつだけ、既定では http://127.0.0.1:3211 で、ポートは 1 から 65535 の範囲で変更できます。HTTP Basic 認証は常時有効です。ユーザー名の既定値は anystorage、パスワードは初回に自動生成される 24 文字のランダム文字列で、どちらも編集できます。再生成ボタンと、URL・ユーザー名・パスワードそれぞれのコピーボタンもあります。

アプリ内で現在接続中の接続は、その名前のフォルダとして WebDAV のルートに並びます。マウントは OS の標準機能で行います。macOS なら Finder の「移動」から「サーバへ接続」(Cmd+K) を開き、URL を貼り付けて登録ユーザーとしてログイン。Windows ならエクスプローラーの「PC」から「ネットワーク ドライブの割り当て」です。サードパーティ製の WebDAV クライアントでも構いませんし、Windows ではむしろそちらをおすすめします。

読み取りは HTTP range に対応したストリーミングなので、動画のシークバーを動かすためにファイル全体を落とす必要はありません。書き込みもストリーミングで、ファイルまるごとをメモリに抱えません。サービスを有効のままにしておけば次回のアプリ起動時にまた立ち上がります。ここでの自動起動設定に相当するのは、そのトグルひとつです。

カーネル拡張なし、WinFsp なし、低セキュリティ起動なし、管理者権限なし。OS をアップデートしても入れ直すものはありません。

先に書いておく制限

  • 無料版の WebDAV サーバーは読み取り専用です。読み書きは Pro の機能で、Pro でも意図的に読み取り専用へ固定できます。
  • TLS はありません。URL は素の http です。既定で 127.0.0.1 のみにバインドしているのはそのためです。任意の LAN 公開モードは 0.0.0.0 にバインドし、Basic 認証の資格情報が平文でネットワークを流れるためアプリ側で明示的に警告します。
  • 本当の意味のファイルロックはないので、複数の端末から同じファイルを同時に編集する状況は保護されません。チームの共同編集基盤として扱わないでください。
  • アプリを再起動したあとは、その接続をアプリ内で一度開くまで WebDAV のルートに現れません。接続は遅延して張られる作りです。新しく作った接続は、サーバーを再起動しなくても表示されます。
  • 最上位にある接続フォルダを WebDAV 経由で名前変更したり削除したりはできません。異なる二つの接続をまたいでマウント上で直接コピーや移動もできません。いったんローカルを経由するか、アプリの転送画面を使ってください。
  • Windows 標準の WebDAV クライアントには事情があります。WebClient サービスは非推奨扱いで既定では止まっていることが多く、HTTP 上の Basic 認証はレジストリの HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters にある BasicAuthLevel を 2 にするまで拒否されます。FileSizeLimitInBytes の既定値は 50,000,000 バイトで、これを超えると 0x800700DF で失敗します。サードパーティのクライアント、あるいは大きな転送を AnyStorage 本体で行えば、この辺りは全部回避できます。

rclone にしか出せない価値

フィルタ付きの定期 sync や bisync、crypt、union、chunker、dedupe と check、デスクトップの存在しないサーバー、cron に書きたくなる処理。この領域を AnyStorage が置き換えることはありませんし、置き換えられるふりもしません。

結局のところ、両方を持っている人が多いはずです。スクリプトにすべき仕事は rclone に任せ、今すぐ Finder やエクスプローラーでファイルを見たいときはローカルの WebDAV エンドポイントを使う、という分担です。