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Linux 向け S3 クライアント

Linux 向け S3 ブラウザ: Ubuntu で使える GUI クライアント

Linux で使えるデスクトップの S3 ブラウザです。Ubuntu / Fedora / Arch 向けに AppImage と deb を配布し、FUSE ドライバなしでバケットをフォルダとしてマウントできます。

Ubuntu 20.04 以降向けに AppImage と deb を用意した S3 GUI クライアント。カーネルドライバではなく、ローカルの WebDAV サーバー経由でマウントします。

S3 ブラウザ Linux、S3 エクスプローラー Linux、Ubuntu S3 クライアント GUI

このページは S3 クライアント(GUI)の概要の Linux 版です。Homebrew と Finder でのマウントは Mac 版で扱います。

S3 ブラウザ、エクスプローラー、ビューア、クライアント — 呼び方が 4 つあるだけ

検索されている言葉は 4 つありますが、指しているソフトは 1 つです。バケットを一覧し、オブジェクトのサイズと更新日時を並べ、ファイルをドラッグで出し入れできるデスクトップの窓です。S3 ブラウザとS3 エクスプローラーはファイルマネージャー由来の言い方、S3 ビューアは「中を見たいだけ」のときの言い方、S3 クライアントはベンダーがリリースノートで使う言い方。どれで来ても、以下に書いてあることは変わりません。

先に紛らわしい点を 1 つ片付けておきます。S3 Browser は Windows 専用アプリの固有名詞でもあり、Linux 版はありません。つまり「s3 browser linux」で検索すると、製品カテゴリの話と、Linux では使えない製品名が混ざって返ってきます。

Linux は GUI が途切れる場所

この分野のソフトを並べると、Linux で使えるものが急に減ります。S3 Browser は Windows 専用。Cyberduck は 2002 年から続く GPL の無料ソフトですが、ビルドは macOS と Windows だけで、Linux 版はありません(2026 年 9 月時点で Flathub にあるのは FileZilla で、Cyberduck は登録されていません)。CloudMounter、Transmit、ForkLift は Mac 用です。

結果として Linux に残るのは rclone、s3cmd、AWS CLI。どれも優れたツールですが、すべて文字で操作します。似た名前の書き出しファイル 4 つのうち 900 MB あるのはどれかを見て、2 つだけ取り出し、夜間バックアップが実際に書き込まれたか確認する。この種の作業はスクリプトの問題ではありません。

AnyStorage はその層のためのデスクトップアプリで、Linux は移植ではなく同列の配布対象です。Tauri v2 の同じリリースが macOS、Windows、Linux 向けに同じ日に出ます。

配布ファイル

0.2.25 は 2026 年 9 月 23 日公開で、Linux 向けの資産は 2 つ、いずれも x86-64 です。

  • amd64.AppImage(約 88 MB)。chmod +x で実行権限を付けてそのまま起動します。システムには何もインストールされないため、Fedora、Arch、openSUSE など Debian 系以外ではこちらが簡単です。
  • amd64.deb(約 9.1 MB)。Debian と Ubuntu では sudo apt install ./AnyStorage_0.2.25_amd64.deb のように入れると依存関係が解決されます。

動作の下限は Ubuntu 20.04 です。どちらも github.com/Kilerd/anystorage-release/releases のリリースページに、macOS の dmg と Windows のインストーラと並んで置いてあります。各リリースには latest.json が付属し、アプリ側が新しいバージョンを知らせます。

正直に書いておくと、Flatpak / Snap / AUR のパッケージはまだありません。Linux 向けの arm64 ビルドもなく、資産は amd64 のみです。

Ubuntu での入れ方、ツールごとに

このページに来る人の多くは Ubuntu で、そして Ubuntu は汎用の Linux 手順が通用しなくなる場所でもあります。以下は 2026 年 9 月時点で各ツールの公式ドキュメントを確認した内容です。

AnyStorage。Ubuntu では deb を選び、dpkg ではなく apt に渡します。依存関係が同じ手順で解決されます。

sh

sudo apt install ./AnyStorage_*_amd64.deb

AppImage も動きますが、Ubuntu 固有の落とし穴が 1 つあります。AppImage は今も FUSE 2 を前提にしていて、Ubuntu 22.04 以降は FUSE 3 しか入っていません。素の 22.04 や 24.04 では、ダブルクリックしても AppImages require FUSE to run. と返ってきます。AppImage 側のトラブルシューティング文書は逃げ道を 2 つ示しています。sudo apt install libfuse2 で旧いライブラリを入れるか、--appimage-extract-and-run を付けて起動して展開・実行・後片付けを任せるかです。Ubuntu なら deb を選べばこの話自体が消えます。リリースページの Linux 向け資産は AnyStorage_<version>_amd64.AppImage と AnyStorage_<version>_amd64.deb の 2 つだけで、どちらも x86-64。rpm も tar も arm64 ビルドもありません。

rclone。公式のインストールページが勧めるのは自前のスクリプト sudo -v ; curl https://rclone.org/install.sh | sudo bash で、同じページに「配布されている rclone はかなり古いことが多い」と明記されています。誇張ではありません。Ubuntu 24.04 の universe パッケージは 1.60.1 で、上流は 2026 年 9 月 4 日に 1.75.1 を出しています。snap(sudo snap install rclone)もありますが、rclone 側の注記では開発者ではなくコミュニティのパッケージャーが管理しているため、こちらも遅れることがあります。

s3cmd。これは素直に apt です。sudo apt install s3cmd で Ubuntu 24.04 には 2.4.0、つまり上流の最新と同じものが入ります。22.04 は 2.2.0 で 2 世代前です。s3tools.org は「ディストリビューションのリポジトリから取れ」と案内した上で、同じページで「NOT up to date」と警告しています。24.04 に限れば、その警告は当たっていません。

AWS CLI。ここで apt に手を伸ばさないでください。Ubuntu 22.04 の awscli パッケージは 1.22.34、つまり AWS CLI v1 で、24.04 のリリース前にアーカイブから削除されています。現行 LTS では apt に入れるものがありません。AWS 自身が案内しているのは 3 つです。インストールスクリプト curl -fsSL https://awscli.amazonaws.com/v2/install.sh | bash、zip(awscli-exe-linux-x86_64.zip を展開して sudo ./aws/install)、そして公式にサポートされる snap sudo snap install aws-cli --classic — ドキュメントによれば、AWS が自分で維持していると言える経路はこの snap だけです。

Cyberduck と S3 Browser。入れるものがありません。どちらも Linux 版を出していないからで、このページが存在する理由もそこにあります。

最初のバケットに接続する

Amazon S3 で必要なのは 4 つ。アクセスキー ID、シークレットアクセスキー、リージョン、そして見たいバケットです。アプリの権限は渡した鍵の権限とまったく同じなので、ルートの鍵ではなく、バケットとプレフィックスを限定した IAM ユーザーを使ってください。

S3 互換のエンドポイントでは、設定が 2 つ増えます。この 2 つがつまずきどころです。

  • カスタムエンドポイント URL。amazonaws.com ではなく自分のサーバーに接続するための設定で、MinIO、Wasabi、Ceph RGW はこれで繋がります。
  • パススタイルのアドレッシング。MinIO などの実装は、仮想ホスト形式ではなくこちらを要求します。Amazon ではオフ、自前のエンドポイントで署名エラーや名前解決エラーばかり返るときはオンにしてください。

Cloudflare R2、Backblaze B2、Google Cloud Storage、Azure Blob、Alibaba Cloud OSS、Tencent Cloud COS は「S3 に設定を足したもの」ではなく、それぞれ独立した接続タイプです。WebDAV、FTP、SFTP、Google ドライブ、OneDrive、Dropbox、ローカルフォルダを含めて 20 種類以上。認証情報はローカルに暗号化して保存され、アカウント登録は不要です。

見る、運ぶ

バケットはフォルダとして開き、プレフィックスはディレクトリのように辿れます。タブで複数の場所を開いたままにできるので、素材のプレフィックス、バックアップ先、納品フォルダをそのまま残せます。アップロードとダウンロードは 1 つの転送エリアに進捗と履歴つきで集まります。

Pro では、接続内の検索、画像・テキスト・音声のプレビュー、一括操作、ドラッグ&ドロップのアップロード、期限付きの署名付き URL が加わります。社内の MinIO にユーザーを作るより、期限付き URL を 1 本渡すほうが早い場面は多いはずです。

FUSE なしでフォルダとしてマウントする

パスしか受け取らないソフトもあります。Linux での定番は s3fs-fuse か rclone mount で、どちらも動きますが、エディタとバケットの間に FUSE のプロセスが入り、リモートごとにマウントを維持することになります。

AnyStorage は迂回します。アプリは通常の S3 API で通信し、接続中のストレージを自分のマシンで動く WebDAV サーバーとして再提供します。カーネルモジュールも fusermount も root 権限も要りません。

サイドバーの「サービス」から WebDAV タブを開いて開始するだけです。既定のアドレスは http://127.0.0.1:3211、ポートは 1〜65535 で変更でき、HTTP Basic 認証は常時有効(ユーザー名 anystorage、パスワードは初回生成の 24 文字ランダム)。あとはデスクトップ側の機能でマウントします。

  • GNOME Files(Nautilus):「他の場所」のサーバー接続欄に dav://127.0.0.1:3211
  • KDE Dolphin:ロケーション欄に webdav://127.0.0.1:3211
  • デスクトップ環境がない場合:davfs2 で sudo mount -t davfs http://127.0.0.1:3211 /mnt/anystorage。/etc/davfs2/secrets に書いていなければ同じ資格情報を聞かれます。

アプリで開いている接続は、接続名のフォルダとして WebDAV のルートに並びます。バケットも SFTP のホストも Google ドライブも兄弟フォルダです。読み取りは HTTP range のストリーミングなので、mpv で大きな動画のシークバーを中盤に動かしても、その付近のバイトだけを取りに行きます。

制限も同じ場所に書きます。無料版では WebDAV サーバーは読み取り専用です。現行バージョンに TLS はないため既定ではループバックにのみバインドします(0.0.0.0 にバインドする LAN モードは警告付き)。アプリ再起動後は、その接続をアプリ内で一度開くまでルートに現れません。接続フォルダ同士の直接コピーもできないので、ストレージ間の移動は転送画面から行ってください。

既存のツールとの関係

rclone はこの一覧で最も強いツールです。約 60 のバックエンド、スクリプト可能、無料で、しかも Linux では FUSE がカーネルに入っているので依存のコストもほぼありません。同期ジョブと cron が仕事なら、そのままで十分です。違いは形のほうです。rclone mount はリモートごとにプロセスが増え、多くのアプリが書き込めるようにするには --vfs-cache-mode を決める必要があります。こちらはエンドポイント 1 つ、マウント 1 つに全接続が入り、上書き前に中身を見られます。

s3cmd や aws s3 cp は、事前に内容を説明できるコピーに向いています。3 階層下にある「名前をなんとなく覚えているファイル」を探す作業には向いていません。

Cyberduck と S3 Browser は名前が挙がりやすい 2 つですが、前者は macOS と Windows のみ、後者は Windows 専用です。「s3 browser linux」という検索に気持ちよく答えるものが無いのは、そのためです。

無料版の範囲

無料版はストレージ接続 2 つと基本的なファイル操作で、商用利用も可能です。個人利用限定の条項も試用期限もありません。WebDAV サーバーは読み取り専用、サポートはコミュニティベースです。Pro は接続数の上限を外し、20 種類以上のすべての接続タイプを開き、WebDAV を読み書き可能にして、検索、プレビュー、一括操作、ドラッグ&ドロップのアップロード、優先メールサポートを追加します。

よくある質問

Ubuntu 22.04 や 24.04 でも動きますか

動きます。下限が 20.04 なのでどちらもその上です。Debian 系では deb、それ以外のディストリビューションでは AppImage が無難です。

Flatpak や Snap、AUR のパッケージはありますか

今はありません。Linux は AppImage と deb のみです。macOS には Homebrew の cask(brew install --cask kilerd/tap/anystorage)があります。

FUSE や macFUSE、カーネルモジュールは必要ですか

不要です。閲覧はアプリが S3 API で行い、フォルダとしてのマウントはローカルの WebDAV サーバーとファイルマネージャー標準の WebDAV クライアントで完結します。davfs2 を選んだ場合を除き、root も要りません。

MinIO や Cloudflare R2、Wasabi、Ceph に繋がりますか

MinIO、Wasabi、Ceph RGW は S3 接続タイプ + カスタムエンドポイント + パススタイルです。R2 は独立した接続タイプで、Backblaze B2、Google Cloud Storage、Azure Blob、OSS、COS も同様です。

CLI やヘッドレスモードはありますか

ありません。デスクトップ GUI なので、画面のないサーバーでは rclone や AWS CLI が正解です。

Linux 向けの S3 エクスプローラーはありますか

あります。ただし正直に言うと選択肢は少ないです。AnyStorage は AppImage か deb で Ubuntu 20.04 以降に入ります。名前が挙がりやすい Cyberduck と S3 Browser はどちらも Linux 版がなく、CloudMounter、Transmit、ForkLift も同じです。残りは rclone、s3cmd、AWS CLI といった端末のツールで、これらを「エクスプローラー」と呼ぶのは ls をファイルマネージャーと呼ぶのに近いです。

Ubuntu で一番いい S3 ビューアはどれですか

「見る」の範囲で答えが変わります。プレフィックスの一覧、サイズの確認、夜間バックアップが書けたかの確認だけなら、rclone lsl や s3cmd ls が無料で、Ubuntu にパッケージもあり、どんなウィンドウより速く済みます。タブとプレビューとドラッグ&ドロップのある窓が要るなら、Ubuntu では AnyStorage あたりまで絞られます。この分野の定番 GUI が Linux 版を出していないからです。作っているのは私たちなので、そこは割り引いて読んでください。無料版は接続 2 つと読み取り専用のマウントまでで、プレビュー、検索、一括操作は Pro の機能です。