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SFTP ネットワークドライブ

SFTP をネットワークドライブとしてマウントする(Windows に標準の方法はない)

Windows には SFTP をネットワークドライブにする標準手段がありません。ドライバを一切入れずに、ローカルの WebDAV エンドポイント経由でマウントする手順です。

WinFsp も macFUSE も入れずに、SFTP や FTP のサーバーをエクスプローラーや Finder のドライブとして扱う方法です。

SFTP ネットワークドライブ、SFTP マウント Windows、sshfs 代替

エクスプローラーは FTP をぎこちなく扱い、SFTP は扱えない

「ネットワークの場所を追加する」ウィザードは Windows XP の頃から生き残り、Windows 11 にもまだ入っています。ただし理解できるのは素の FTP だけ。SFTP は SSH セッションの中を通るプロトコルなので、どのバージョンの Windows にもドライブとして割り当てる経路が用意されたことはありません。macOS も大差なく、Finder は ftp:// を読み取り専用で開けるだけで、SFTP のマウントは最初から存在しません。

結果として、毎日ちょっとした矛盾に付き合うことになります。ssh 一発で入れるサーバーが、ファイル管理ソフトからは完全に見えない、という状態です。

よくある回避策とその代償

  • Windows で sshfs-win を使う: 先にカーネルモードのファイルシステムドライバである WinFsp を入れ、その上に sshfs 層を重ねます。
  • macOS で sshfs を使う: macFUSE が前提です。Apple Silicon なら復旧モードで起動して起動セキュリティの設定を下げ、サードパーティのカーネル機能拡張を許可し、再起動して、システム設定でもう一度承認します。macOS のメジャーアップデートのたびに確認し直しになりがちです。
  • 商用のマウントドライバ: ドライバ由来の面倒はそのままに、ライセンス費用が増えます。
  • 転送ソフトだけで済ませる: FileZilla などでファイルは運べますが、他のアプリからは見えないままです。エディタでリモートの設定ファイルは開けませんし、プレイヤーから参照することもできません。

どれも無茶な設計ではありません。ただ「フォルダが一つ欲しい」だけの目的に対して、カーネルへ手を入れるのは代償が大きいと感じます。

SFTP をネットワークドライブとしてマウントする、ドライバなしで

AnyStorage は別の経路を取ります。まず一般の転送ソフトと同じようにクライアントとして SFTP へ接続し、接続中のストレージを、アプリ内で動く小さな WebDAV サーバー経由で改めて公開します。OS がマウントするのはローカルのそのエンドポイントであって、SFTP サーバーそのものではありません。カーネル機能拡張も WinFsp も管理者権限も要らず、手で編集する設定ファイルもありません。

手順は次のとおりです。AnyStorage に SFTP 接続を追加し、一度開いて接続状態にしておきます。サイドバーの「サービス」から WebDAV タブを選び、Start を押します。既定のアドレスは http://127.0.0.1:3211 で、HTTP Basic 認証は常時有効。ユーザー名の初期値は anystorage、パスワードは初回に 24 文字がランダム生成されます。どちらも変更でき、再生成ボタンもあり、URL とユーザー名とパスワードにはそれぞれコピーボタンが付いています。3211 が他と衝突するならポート番号は変更可能です。

あとは OS が最初から持っている機能でマウントします。

  • macOS: Finder の「移動」メニューから「サーバへ接続」、または Cmd+K。http://127.0.0.1:3211 を貼り付け、登録ユーザーとして、アプリに表示されているユーザー名とパスワードで接続します。
  • Windows: エクスプローラーの PC から「ネットワーク ドライブの割り当て」で同じ URL を貼り付けます。その前に次の節を読んでください。
  • Linux: WebDAV に対応したファイルマネージャーなら何でも構いません。GNOME Files の「他の場所」に dav://127.0.0.1:3211 と入力します。

アプリ内で接続中のストレージは、接続名がそのままフォルダ名になって WebDAV のルートに並びます。Synology や QNAP の NAS への SFTP 接続も、VPS も、S3 やクラウドドライブと同じマウントポイントの下に横並びになります。

先に知っておくと戸惑わない挙動が一つ。接続は遅延して張られます。アプリを再起動したあとは、その SFTP 接続をアプリ内で一度開いてください。そうすると WebDAV のルートに現れます。あとから追加した接続は、サーバーを再起動しなくても表示されます。

隠さずに書いておきたい点が二つあります。無料版の WebDAV サーバーは読み取り専用で、読み書きは Pro ライセンスの機能です(Pro でも意図的に読み取り専用へ固定できます)。それから現行版に TLS はなく、エンドポイントは平文の http です。既定で 127.0.0.1 にのみバインドしているのはそのためで、LAN 公開モードを有効にするとアプリが明確に警告します。Basic 認証の資格情報が平文でネットワークを流れるからです。

つまずくのはたいてい Windows 標準の WebDAV クライアント

サーバー側はもう簡単な方です。手強いのは Windows のクライアント側になります。

  • WebClient サービスは 2026 年時点で非推奨扱いで、たいてい停止しています。割り当ての前に services.msc から開始してください。
  • Windows は平文 http 上の Basic 認証を既定で拒否します。レジストリの HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters にある BasicAuthLevel は既定値 1、つまり SSL 上の Basic のみ許可です。2 に変更して WebClient を再起動します。そのままだと The folder you entered does not appear to be valid(日本語環境では同等の文言)、システム エラー 67、0x80070043 のいずれかが出ますが、どれも認証の話だとは読み取れません。
  • FileSizeLimitInBytes の既定値は 50,000,000 バイト。50 GB ではなく 50 MB です。これを超えるコピーは 0x800700DF で失敗します。上限は 0xFFFFFFFF、およそ 4 GB まで引き上げられ、変更後はやはり WebClient の再起動が必要です。

この一覧を丸ごと避ける手もあります。サードパーティの WebDAV クライアントにはこれらの制限がありませんし、大きなファイルは AnyStorage の転送画面で運ぶ方が確実で、4 GB の上限もありません。

向いている用途と、向いていない用途

細かい作業では快適です。VPS から昨日のログを Finder のウィンドウごとドラッグして取り出す。サーバーの uploads フォルダを開いてスペースキーで次々プレビューする。設定ファイルを踏み台の上の vim ではなく普段のエディタで直す。FTP 接続でも同じ手順が使えます。アプリから見れば接続種別が違うだけです。

正直に書くと、限界は遅延です。127.0.0.1 までの往復はほぼゼロですが、Finder やエクスプローラーがディレクトリ一覧を要求するたび、実際の通信は SFTP サーバーまで飛びます。二万件のフォルダは、SSH 越しに見た二万件のフォルダの体感のままです。読み取りは HTTP のレンジ対応でストリーミングされるので、大きなファイルの途中までシークするのに全体をダウンロードする必要はありません。ここは効きます。

できないこともあります。ファイルロックはないため、複数のマシンから同じリモートファイルを同時に編集しても保護されません。ルート直下の接続フォルダはマウント経由で削除も名前変更もできず、異なる接続どうしでマウント上から直接コピーや移動もできません。いったんローカルへ落として上げ直すか、アプリ内で処理してください。大量移行のような作業は、進捗と再試行が見える転送画面の担当です。