マイクロソフトが出しているのは同期です
この話題を検索すると、動かなくなった WebDAV アドレスの手順か、仮想ドライブを売る製品紹介のどちらかに当たります。どちらも「マイクロソフトが実際に何を提供しているのか」から始めないので、そこから始めます。
公式の OneDrive アプリはユーザープロファイルの下、通常は %USERPROFILE%\OneDrive にフォルダーを作り、クラウドと同期します。ファイル オンデマンドが有効なら中身はプレースホルダーで、開いたときにダウンロードされるのでディスクは食いません。ただしそれはドライブ文字でもマウントポイントでもありません。バッチ処理やレンダリングノード、Z:\ を前提にした古いアプリからは扱えないということです。
この差がこの検索語の理由です。埋める方法は四つあり、優劣ははっきりしています。
| 方法 | 得られるもの | 再起動後も残るか | 注意点 |
|---|---|---|---|
OneDrive アプリ + subst | 同期フォルダーに対するドライブ文字 | 残らない(セッション限り) | 中身は結局同期フォルダー |
| 個人用 OneDrive を WebDAV で | 割り当てられたネットワークドライブ | 場合による | 旧エンドポイント。二段階認証で壊れる |
| SharePoint / OneDrive for Business を WebDAV で | 割り当てられたネットワークドライブ | 残らない | Basic 資格情報は資格情報マネージャーに保持されない |
| ローカル WebDAV ブリッジ(AnyStorage など) | OneDrive と他の全接続をまとめた一つのドライブ | ログオン時に割り当てれば残る | 無料版は読み取り専用 |
subst:同期フォルダーにドライブ文字をかぶせる
subst は「パスにドライブ文字を関連付ける」ことだけを行う、文書化された Windows のコマンドです。OneDrive フォルダーから Z:\ への最短経路で、サービスもレジストリも管理者権限も要りません。
cmd
subst Z: "%USERPROFILE%\OneDrive"
subst
subst Z: /d限界は二つ。第一に、subst の仮想ドライブは現在のログオン限りで、再起動で消えます。ログオン スクリプトか、サインイン時に実行するタスク スケジューラのタスクに入れてください。第二に、実体はやはり同期フォルダーです。ツリー全体を走査する処理が入るとプレースホルダーが実体化して本当にダウンロードが始まります。2TB の OneDrive をマウントしたい人が避けたいのはまさにそれです。
なお net use はローカルのパスを受け付けません。UNC パスか URL が必要で、だから WebDAV 経路の話が出てきます。
WebDAV 経路と、その期待外れなところ
個人用 OneDrive には歴史的に https://d.docs.live.net/<CID> という WebDAV エンドポイントがありました。CID は OneDrive の Web URL に出てくる 16 進のアカウント識別子です。
cmd
net use Z: https://d.docs.live.net/00A1B2C3D4E5F678 /user:you@example.com *これはレガシーとして扱ってください。マイクロソフト自身のアーカイブ記事は、二段階認証を有効にしたアカウントではアカウントのパスワードではなくアプリ パスワードが必要になると説明していますし、2026 年の Microsoft Q&A には、信頼済みサイトに追加してもアクセス拒否やネットワーク名のエラーで割り当てできないという報告が並んでいます。マイクロソフトの案内は同期クライアントです。個人用 OneDrive の WebDAV 割り当ては黙認であって、サポートではありません。
職場または学校のアカウントはもう少しましです。SharePoint や OneDrive for Business のライブラリは、WebDAV リダイレクターが文書化している UNC 形式 \\server[@SSL][@port][\path] と、サーバーのルートを指す DavWWWRoot で割り当てられます。
cmd
net use Z: \\contoso.sharepoint.com@SSL\DavWWWRoot\personal\alice_contoso_com\Documentsここで「システム エラー 67 が発生しました。」やエクスプローラーの「エラー コード: 0x80070043」が出たら、まず WebClient サービスの停止を疑います。マイクロソフトは 2023 年 11 月にこれを非推奨とし、既定では開始されなくなっています。原因の一覧は net use のエラー 67 と WebDAV エラー 0x80070043 にまとめてあります。サインインのたびに割り当て直しが必要になる点も織り込んでおいてください。Windows 7 以降、Basic 認証の資格情報は資格情報マネージャーに保持できないとマイクロソフトが明記しています。
AnyStorage のやり方
AnyStorage は OneDrive を数あるストレージ接続の一つとして扱い、開いている接続すべてを自分の PC 上の WebDAV サーバー経由で公開します。サイドバーの Services、WebDAV タブ、Start で http://127.0.0.1:3211 が立ち上がり、HTTP Basic 認証は常時有効です。ユーザー名の既定は anystorage、パスワードは初回生成の 24 文字で、どちらもコピーボタン付きです。
一度割り当てれば、フォルダーがそのまま接続一覧になります。OneDrive の隣に S3 バケット、Cloudflare R2、Backblaze B2、MinIO、Google Cloud Storage、Azure Blob、Alibaba Cloud OSS、Tencent Cloud COS、Google ドライブ、Dropbox、WebDAV サーバー、FTP、SFTP、ローカルフォルダーが並びます。サービスごとに割り当てる必要はありません。
cmd
reg add "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters" /v BasicAuthLevel /t REG_DWORD /d 2 /f
net stop WebClient
net start WebClient
net use Z: http://127.0.0.1:3211/ /user:anystorage *BasicAuthLevel を 2 にするのは、エンドポイントがループバック上の HTTP で、Windows が既定では平文 HTTP に Basic 資格情報を送らないためです。一度きりの設定で、通信は PC の外に出ません。
正直な制約も二つ。無料版では WebDAV マウントは読み取り専用で、読み書きは Pro の機能です。また無料版のストレージ接続は二つまでです。接続は遅延して行われるため、そのセッションでアプリ内から開いた接続だけがルートに現れます。
macOS の場合
WebClient に相当するサービスも、macFUSE のようなカーネル拡張も要りません。Finder で Cmd+K、http://127.0.0.1:3211 を入力し、同じ資格情報を入れれば、他のネットワーク共有と同じように /Volumes の下にマウントされます。Mac 側の同期フォルダーは ~/OneDrive または ~/Library/CloudStorage/OneDrive-<テナント> で、これもボリュームではなくフォルダーです。AnyStorage 自体は macOS 11 以降が必要で、0.2.24 は 2026 年 9 月 23 日公開、brew install --cask kilerd/tap/anystorage が一番早い導入方法です。
net use で OneDrive を直接割り当てられますか。
職場・学校アカウントなら、上の SharePoint 形式で可能です。個人アカウントの d.docs.live.net はレガシーで壊れやすいので、同期フォルダー + subst か、ローカル WebDAV ブリッジを前提にしてください。
マウントした OneDrive はディスクを消費しますか。
WebDAV マウント経由なら消費しません。必要なときに取得され、ミラーは作られません。subst で同期フォルダーに被せた場合は、プレースホルダーが読まれた分だけ実体化します。
割り当てが再起動のたびに消えるのはなぜですか。
理由は二つあります。subst のドライブは仕様としてセッション限りです。Basic 認証の WebDAV 割り当ては、Windows 7 以降 資格情報マネージャーに保持できないため復元されません。マイクロソフトの推奨はログオン スクリプトでの net use 再実行です。
Windows 11 と Windows 10 で違いはありますか。
仕組みは同じです。実務上の違いは、WebClient が 2023 年 11 月から非推奨で既定では起動しないため、新しい環境ほど最初の割り当てでつまずくことです。
次に読む
- Google ドライブで同じことをする: Google ドライブをネットワークドライブとしてマウント
- Dropbox で同じことをする: Dropbox をネットワークドライブとしてマウント
- 割り当てが通らないとき: Windows で WebDAV に接続できないとき