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Windows の WebDAV

IIS を使わずに Windows で WebDAV サーバーを動かす

IIS なしで Windows に WebDAV サーバーを立てる方法。127.0.0.1:3211 をネットワークドライブに割り当て、WebClient 側の制限も解説します。

Windows でローカル WebDAV サーバーを起動し、クラウドや NAS をネットワークドライブとして扱うための手順と、標準クライアント側のレジストリ制限をまとめました。

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IIS の解説は、別の問題への答え

Windows で WebDAV サーバーを立てる方法を検索すると、たいてい IIS のドキュメントに行き着きます。役割サービス、承認規則、アプリケーションプール、スクリーンショットは Server 2012 のまま。この手順自体は正しく動きます。ただ、検索している人が知りたかったこととは少しずれています。

IIS が公開するのは、そのマシンのディスクにすでに存在するフォルダーです。一方で WebDAV を探す動機はふつう逆向きで、ファイルは S3 バケットや Synology / QNAP の NAS、SFTP しか開いていない VPS の中にあり、それをエクスプローラーにドライブとして見せたい、しかも全部ダウンロードせずに、という話であることが多いはずです。

WebDAV 発行の役割サービスを入れ、認証モジュールを有効にし、承認規則を書き、アプリケーションプール ID を決め、匿名認証が優先されてしまう理由を一時間ほど調べる。そこまでやって手に入るのは C:\inetpub\ 以下への HTTP アクセスです。この構成からクラウドのバケットには手が届きません。

必要なのはもっと小さいものです。自分専用にローカルで動き、片側で WebDAV を話し、もう片側でストレージのアカウントにつながっているサーバー。

起動そのものは十秒ほど

AnyStorage には WebDAV サーバーが内蔵されています。アプリを開き、サイドバーの「サービス」から WebDAV タブを選んで、開始を押すだけです。エンドポイントは http://127.0.0.1:3211 になります。

割り当てる前に押さえておきたい点をいくつか。

  • HTTP Basic 認証は常に有効です。既定のユーザー名は anystorage、パスワードは初回利用時に 24 文字がランダム生成されます。どちらも編集でき、再生成ボタンと、URL / ユーザー名 / パスワードのコピーボタンが用意されています。
  • ポートは 1 から 65535 の範囲で変更可能です。既定値を 3211 にしているのは、他のサービスとぶつかりにくいためです。
  • 既定では 127.0.0.1 のみにバインドします。0.0.0.0 にバインドする LAN アクセスのオプションもありますが、有効化するとアプリが明示的に警告を出します。現行バージョンに TLS はなく、Basic の資格情報が平文でネットワークを流れるからです。
  • 設定は保持されます。有効のままにしておけば、次回アプリを起動したときにサーバーも一緒に立ち上がります。

アプリ内で現在接続されているストレージ接続は、それぞれ接続名のフォルダーとして WebDAV のルートに並びます。S3、Cloudflare R2、Backblaze B2、Azure Blob、Google Cloud Storage、OneDrive、Google ドライブ、Dropbox、Seafile、SFTP、FTP、ローカルフォルダーなど、対応する接続タイプは全部で 20 種類です。先に伝えておきたい前提がひとつあります。接続は遅延して張られるため、アプリを再起動した後は AnyStorage 側で一度その接続を開かないと、WebDAV のルートには現れません。後から追加した接続については、サーバーを再起動する必要はありません。

ドライバーのインストールはありません。WinFsp もカーネルモードのファイルシステムも不要で、サーバーの起動に管理者権限もいりません。

Windows の WebDAV サーバーで本当に厄介なのは後半

サーバー側はこれで片付きます。手こずるのは Windows 標準の WebDAV クライアントのほうで、この状況はもう長く変わっていません。

割り当て自体はごく普通です。エクスプローラーから PC、ネットワーク ドライブの割り当てを選び、http://127.0.0.1:3211 を貼り付けて、アプリに表示されているユーザー名とパスワードでサインインします。うまくいかない場合、原因はほぼ次の三つのどれかです。

WebClient サービスが動いていない。このコンポーネントは Microsoft によって非推奨とされており、2026 年時点でも Windows 10 / 11 の多くはスタートアップの種類が「手動」のまま、つまり起動していないことがよくあります。services.msc を開き、WebClient を探して開始してください。停止しているときの典型的な症状は「入力されたフォルダーは有効ではないようです」と、システム エラー 67「ネットワーク名が見つかりません」です。

平文 HTTP 上の Basic 認証が既定で拒否される。レジストリの HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters に BasicAuthLevel という値があり、既定の 1 は SSL 経由の Basic 認証だけを許可します。こちらのエンドポイントはループバック上の http なので、値を 2 に変更して WebClient サービスを再起動する必要があります。典型的なエラーは 0x80070043 です。信頼できないネットワークでは妥当なポリシーですが、127.0.0.1 相手だとほとんど意味がありません。Windows はその区別をしてくれません。なお、この編集には管理者アカウントが要ります。一連の作業で昇格が必要なのはここだけです。

50 MB を超えるコピーが失敗する。同じレジストリキーにある FileSizeLimitInBytes の既定値は 50000000 バイト、つまり 50 MB です。50 GB と記憶している人が多いのですが、実際は 50 MB です。これを超えると 0x800700DF、「ファイル サイズが許可されている制限を超えているため、保存できません」が返ります。値は 0xFFFFFFFF、10 進で 4294967295、およそ 4 GB まで引き上げられます。変更後はやはり WebClient の再起動が必要です。4 GB を超えるファイルになると、標準クライアントは選択肢から外れます。

大きなファイルは標準クライアントを避ける

この三つの制限は、どれもサーバー側のものではありません。Windows の WebDAV クライアントに属する制約なので、サードパーティの WebDAV クライアントを使えば丸ごと回避できますし、AnyStorage 本体から扱う場合も同じです。

使い分けとしては、割り当てたドライブはフォルダーの閲覧、普段のアプリでのドキュメントを開く操作、動画のシーク再生あたりに向いています。読み取りは HTTP Range によるストリーミングなので、途中まで飛ばすためにファイル全体を落とす必要はありません。数十 GB のアーカイブや一括移行といった重い処理は、アプリの転送画面に任せてください。そちらはレジストリの上限とは無関係です。

こちら側の制限も隠さずに書いておきます。無料版の WebDAV サーバーは読み取り専用で、書き込み・削除・名前の変更には Pro ライセンスが必要です。Pro でもあえて読み取り専用のまま運用できます。ルート直下にある接続フォルダーは WebDAV 経由で名前の変更や削除ができず、異なる接続どうしでファイルを直接移動・コピーすることもできません。いったんローカルに落としてから送る形になります。ファイルロックもないため、複数人が同じドキュメントを同時に編集する用途は守れません。目的はもっと単純で、自分のストレージを自分のエクスプローラーに出すこと。そのためにインストールするものは、アプリひとつだけです。